秘密のスパイス生活始めてます!

山倉です。

最近は、企画やコーディネートの作業が大半を占めており、なかなかDAIDOCOとして現場に出ることも少なくなりました。ちなみにこの夏は一度もマイキッチンカーを運転しておりません…(苦笑)その分、スタッフの皆さんが楽しく働いてくださってます。私の今できることは、関わってくださるみんなが、楽しく真剣に取り組める新たな食の現場をよりたくさん用意する事。と思い、津々浦々日々奔走しております。

本日は、春からひっそりと個人の仕事(foodrop)として参加させていただいているとある取り組みについてのお話をしようと思います。

新潟は雪もまだとけていない春先3月に、ひょんなことから知り合った東京のコンサル会社アソボットの近藤ナオさんの「行ってみてほしい料理教室があるんですが、新潟で」という依頼で、3月19日に三条市で行われたとある料理教室に受講者として参加しました。大雨というかみぞれ混じりの、まだまだ寒い日でした。

今、スケジュール帳を見てみると、「三条カレー」としか書いてない(笑)

この時は、これから何が起こるかなんて本当に何も考えてもいませんでした。

そこでカレーを教えていたのは、東京の押上にある人気料理店「スパイスカフェ」のシェフ、伊藤一城氏。

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名前は料理本などで聞いたことのあるスパイスカフェ。でもどうしてこの三条の、公民館のように小さなこの調理室で、あの伊藤シェフが?と噂を聞きつけて参加している同業者もびっくりする中、素敵な講習は続き、内容もとても面白く、すぐにスパイスの魅力に引き込まれました。

終わった後、ナオさんに電話で「どうでしたかカレー屋さんの教室は」と聞かれて、

「ナオさん、あの方の料理はカレーじゃないです。あれはスパイス料理ですよ(笑)」と答えたのをなんだかやけにはっきりと、覚えています。

そう。この伊藤シェフはカレー屋さんではありません。スパイスの事を知り尽くす日本でも有数の料理人であります。

今年の6月には著書「SPICE CAFEのスパイス料理」が、グルマン世界料理本大賞において、SINGLE SUBJECT部門のグランプリを受賞。

という、日本を代表する料理人のお一人です。

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その後、今回のお仕事の統括プロデューサーとなる近藤には東京のスパイスカフェに実際連れて行って頂いたり、現在地域再生マネージャーとして依頼を受けている、三条市のSmart Wellness Cityの取り組みの話や他地域でのまちづくり系の活動事例などを聞き、三条の取り組みの一部である食のアドバイザーとして伊藤シェフが参加されている事をお聞きしました。

色々お話するにつれ、シェフの人柄と、料理や食、物事に対する姿勢にすっかり惚れ込んでしまいました。

しかし、Smart Wellness Cityか……

***

高齢化・人口減少が進んでも地域住民の方々が「健幸」であるためには、そこに暮らすことで健幸になれる「まち」づくりが求められています。
「ウエルネス(健幸:個々人が健康かつ生きがいを持ち、安心安全で豊かな生活を営むこと)」をまちづくりの中核に位置付け、住民が健康で元気に幸せに暮らせる新しい都市モデル「Smart Wellness City(スマートウエルネスシティ)」構想の推進を行い地域の担い手である住民が、「健康」を通じて主体的に健康維持・社会参加するためのしくみづくりを支援し、地域の活性化に貢献していく。

***

む、難しい…新しい扉すぎる…

と、具体的なことは最初は本当に掴めない状態でしたが、ナオさんと伊藤シェフからの依頼で、まずは新潟での伊藤シェフの活動に関する地域コーディネーターとして、この取り組みに関わることになりました。

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もちろん、地域の食材をコーディネートしたり、事例を発掘したり食に関する事柄をプランニングしたりという作業は専門でやっていますので、出来ることもあるでしょう。でも、今回の取り組みに対する「食」の持つ可能性って、私の出来ることってなんだろう…

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伊藤シェフが新潟にいらっしゃるたびに、様々な場所にお連れしたり、伊藤シェフの専門であるスパイスの効能やストーリーについて勉強したり、三条や西蒲区の生産者の方を訪ねて回ったりカレーを食べたり作ったり食べたり食べたり(笑)そんな日々をとてつもない早回しのように3ヶ月ほどすごしていましたが、なかなかこの活動の肝になるようなものが見えてこない。

すごく悩んだ時期もありました。

『健幸』って一体なんだろう…。

これからの私たちのくらしのこと。

飲食業者が家庭の台所が、これから担っていくであろうこれからの食の役割のこと。

伊藤シェフや近藤とも、とても沢山の対話をして、この取り組みについての企画を進めていました。

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なかなか見えてこない活動のテーマと、手探りの作業も続き、三条の道や一人での放浪しているかのような運転の仕方も覚え(苦笑)夏が始まり服装も半袖になった頃、立ち寄った三条下田の直売所で目に止まったウコンの瓶。それを生産する生産者を探し、お会いする事ができた一人のおじいさんとの出会いによって、やっとこの活動のテーマとなるようなものを見つけることができました。

早速伊藤シェフを連れていきました。

 

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下田の山崎さんは87歳。仕事を引退されてから、もう25年もの間、三条の下田エリアでウコンを栽培し、自分で加工して直売所などで販売しています。

お話をお伺いしにお邪魔したご自宅には、束のように積まれたウコンの栽培資料と、ほとんどが手作りで設えられたウコンの加工道具の数々。そこには確かに、私たちが忘れそうな「くらしの知恵」や「健康意識の高い普段の食文化」がありました。

それを大事そうに抱え、畑を見渡すその目線が、私にはとてもとても眩しく見えた。

一度の大病で脚を悪くされて歩行が困難になっている山崎さんですが、「上半身だけはウコンのおかげで誰より元気!酒もまだまだ一升飲めるわね!」と笑うその表情に、なんだかこちらは勇気までもらってしまいました。

そのほかにも、三条下田エリアには、野草茶をはじめ、ごんぼっ葉や機能性の高い山の植物たちが存在し、世代を超えて、その効能を知っている住人は、今もそうして健康意識の高い食生活を送られているように思えました。

私は、その豊かな生活環境に、すっかり魅了されてしまいました。

今回、山崎さんを紹介してくださったのは、ダイドコの活動でもご一緒したことのある、下田の喫茶店「こくわや藤兵衛」の香織さん。こちらでも山の幸である「こくわ」を使用したカレーやドレシング、その他も山の機能性の高い植物を使ったデザートをお出しされています。

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三条下田、すごい!!

ウコンはスパイスで言う所の「ターメリック」です。

言わずともがなスパイス料理の基本にもなるようなターメリックには、様々な効能や作用があります。

農産物を通して、食の力で自身を調整し、バランスの良い生活を送っている。

これこそが私の考えるSmart Wellness の考えに近いのかなと思えました。

郷土料理も保存食も、常備菜や伝統野菜など、今まで関わってきたDAIDOCOの取り組みでは、伝わってきた伝統のようなものや残したいフードコンテンツに対して「食べるは命を作ること。」というイメージを持ってきましたが、どうもその、「残す」という事に関して、ただ残すだけではなくもっともっと考察が必要なのではないかという気持ちが大きくなりました。

そして、その考察には、必ず上の世代の経験と、知識が必要になる。

下田で見つけたスパイスのある生活を通して、高齢の農業従事者がイキイキと眩しく見えたように、これからの命を食の力で支えていく私たちも、上の世代から学び、眩しく見えるような取り組みを次世代と共にしていけたら。と思いました。守る守られるの関係ではなく、誰もが他の人の生き方と、学びの気持ちで繋がっていける社会はすごく素敵だなと感じています。

今回、この活動を通して、未来につながる健康意識の共有ということに対し、また新しいアクションを起こせそうな気がしてきました。

***

実は今回の近藤からの依頼内容の中には、伊藤シェフ監修の飲食店を三条市にオープンすることも一つの課題としてありました。飲食店は、三条市内の給食センター跡地に出来上がるもので、企画を元に、飲食店の企画も担当し、飲食店作りに関しては伊藤シェフ監修の元私はディレクターという立場で関わることにもなりました。

出来上がるのは全天候型の木造広場。

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設計はなんと、大地の芸術祭では「キョロロ」の建築でも有名な

手塚建築研究所 (Takaharu Tezuka + Yui Tezuka/Tezuka Architects) の手塚貴晴さんです。

本当に「青」なんだ!!(笑)

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手塚さんもとても楽しい方。建築の会議にも参加させていただき、厨房の件やしつらえの件も色々相談させていただきました。十日町に新しくできた「いこて」にも連れて行って頂いたり担当の建築女史島田さんとも仲良くさせて頂いたりと、こちらも交流を続けています。

そして、今回のプロジェクトも今までの私の取り組みと同じように、この街に住み活動するクリエイティターと共に作り上げ表現することになりました。アートディレクターは三条のデザイナー関川一郎さん。また、そのサポーターとして一部デザインは同じく三条の西村隆行さんが担当してくださいます。それからなんと、インテリア、プロダクトのコーディネートディレクターにはツバメコーヒーの田中君!!

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燕三条の若手(?)クリエイターをまとめ、伊藤シェフ監修で、さーーー。はてさてどんな飲食店が出来上がるやら。まあ、今の所そんなチームでお送りする予定となっております。

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と、思ったら………

最後にとんでもない事態が待っていました。

そんな活動を私が春から粛々と続けているのを日々見聞きしていた熊倉が、

なんと今回の三条市が実施した事業者募集に応募!!

そして見事に採用となってしまいました。(笑)

どこまで私の仕事が好きすぎるんでしょうか。熊倉は…(苦笑)

というわけで、今回は伊藤シェフ監修、そして熊倉が率いる飲食店スタッフが運営する店舗のディレクションをするということになってしまいました。

現在、熊倉のほうではすでに、伊藤シェフと食材探し、メニュー開発、そしてスタッフの研修に取り掛かっています。

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まさか誠之助の関わる飲食店をこんなに短いスパンで二度もディレクションするとは、3年前は夢にも思いませんでしたが、今回はDAIDOCOという形ではなく、それぞれが得意とする事(プランニングやディレクションと飲食店運営や調理)を持ち寄って個人個人としてのプロジェクトへの参加ということで、また一つ私たちの関係性も別のステップにあがったような気がして嬉しい気もします。

彼自身、スパイス料理という新しい料理のジャンルに飛び込むことにとてもワクワクしている様子。そこは同じ料理人としてとっても共感するところでもあり、ちょっと羨ましいぐらいです。

確かに伊藤シェフの柔軟さとアクティブさは誠之助の料理人としての姿勢にとても似ているかもしれない。周りにそういう魅力的な料理人がいてくれることをとても幸せに感じています。

このチーム、その後元を正せば実は今年で3年目を迎える「工場の祭典」の監修に入られているmethodのクリティブディレクター、山田遊さんをきっかけに繋がってがってたことが所々で発覚します。こんな奇跡みたいな素敵な出来事をくださった遊さんにもリスペクトを込めて、今回、この工場の祭典初日に行われるオープニングレセプションには、春に出来上がる予定の飲食店チームで参加を予定しています。

というわけで、最近のお仕事の一つをご報告でした。

2016年春にむけての新しい取り組みがこれ以外にも何個か徐々に始まってきています。

今までの経験を生かし、少しでも皆さんのお役に立てるよう、日々活動をして参りたいと思っています。

さて、今日も誰かのために!

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